ジェンダーとコミュニティ

夏からポートランドコミュニティカレッジ(訳してPCC)に通い出した。

コミュニティカレッジは、日本ではあまり馴染みがないが、アメリカではどこの都市にもある、准大学のようなもの。入学試験はなく、誰でも17歳から通うことができる。ポートランド市のバックアップのおかげで、低額の授業料にもかかわらず高度な学問の場をを提供している。学生数7万人。キャンパスは全部で4つ。市内には10以上のコミュニティセンターを儲けている。ポートランドの人々の教育レベルが高いもの、PCCの存在が一因だろう。

非常に難易度の高いアカデミックの授業(解剖学、経済学、科学、心理学、語学など大学レベルのクラス)から、単位取得がないヨガやクッキングクラス、DIYのカルチャー系のクラスまで、様々。

コミュニティカレッジに通う学生の目的も様々。特に若者は、コミュカレで単位をとって、大学へ編入するタイプが多い。私みたいな中年層は、キャリアチェンジのためが多いかな。高齢層は、趣味だったり、再度勉学に励みたいとの熱意がある方だったり。10代から60代くらいまで、通う学生の年齢も老若男女様々。国籍も様々。みんな、真剣な表情で授業を受ける。ディスカッションは積極的。内向的な日本の学生が見たら、怖気付くに違いない。

さて、PCCには豊富な学生サービスが備わっており、私が遥か昔に通っていた公立大学では考えられないことだ。

・チャイルドケア
・自転車貸し出し(学期ごとに1台15ドル。ヘルメット、バイクのロックつき。修理保証あり)
・心理カウンセリング(勉強や就職以外のことでもなんでもOK)
・ハラスメントの駆け込み相談室
・LGBTQのためのセンター
・学生ユニオンでの無料昼食配布
・低額のデンタルチェックや、無料のインフルエンザワクチンなど
・無料コンサートなどのエンターテインメント
などなど。

コミュニティカレッジがコミュニティに貢献するのは当たり前のことなのだが、特に、ジェンダーに関しては、教員も事務側も非常に繊細に対応する。

初日の授業では、1枚の紙に自己紹介文を書き、授業の終わりに提出するのだが、教授が、名前の下に、「あなたの代名詞(pronoun)」を書きなさいと言うので、「????」となった。「ん?代名詞ってどういうこと?」と、隣の女子に聞くと、「自分の生物学上の性別ではなく、自分がどう呼ばれたいか、書くのよ。」と教えてくれた。

つまり、体は男性でも、自分の性別の認識が女性であれば、「she/her/hers」、反対に体は女性でも、自分の性別の認識が男性であれば「he/him/his」と書くのだそうだ。

ちなみに、仲良くなったクラスメート、オリビアは新婚ホヤホヤ。ショートヘアと大きなメガネがよく似合う、可愛らしい女の子。1ヶ月前に挙げた結婚式のエピソードや、ハネムーンの計画を、休み時間に逐一報告してくれる。そんなオリビアが自分のパートナーの話をするときは、いつも決まって「My wife(私の妻) 」。

「Wife(ワイフ)?」へ?、結婚式の写真を見せてもらって、納得。ああ、なるほど、彼女は同性婚なのだ。パートナーは女性なのね。私だけ、一瞬解せなかったが、他のクラスメートは、同性婚など当たり前のように、嬉しそうに話を聞く。

ポートランドでは、ありのままが認められる。違いが尊重される。人々の長年の努力と社会への働きかけのおかげで、やっと認められた権利がある。そんな街で生きられるのは、この上ない幸せだとつくづく思う。

オリビアの嬉しそうな顔を見ていると、ポートランドに来て正解だったと、自分で自分を褒めたくなるのである。



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